慢性疲労症候群 および 線維筋痛症候群

Chronic Fatigue Syndrome (CFS)  and  Fibromyalgia syndrome (FMS)

latest update: 2006.02.10

 慢性疲労症候群(CFS)とは、様々な事象が引き金となって脳の一部の働きが低下し、疲労感のために仕事が出来ない、社会生活が送れない状態になる疾患の総称です。引き金は、化学物質(シックハウス症候群など)、放射線(湾岸戦争症候群など)、ウイルス(ヒトヘルペスウイルスなど)と様々です。結果的に免疫物質サイトカインが異常に増えて大脳に於ける神経伝達物質セロトニンの伝達が阻害されることに依って発症するとされます。特にヒトヘルペスウイルスは人類始まってこの方人類と共存しているウイルスですが、宿主(寄生生物に対することば)に生命の危機が迫ると体外に逃れようとして、ヘルペス(単純疱疹、帯状疱疹など)を作って伝染する一方、体内で余ったウイルスが脳の活性低下を引き起こすようです。
 このため、疲労感から社会生活が出来ないまでに悪化してしまい、外見上は正常なために”なまけ病”の烙印を押されることも珍しくありません。狭い国土に人口が密集していることによる生物的限界が、少子化に影響していると考えられますが、慢性疲労症候群の増加もその現れかも知れません。ただし私見です。
 線維筋痛症(FMS)とは、全身特に背部の広範な筋肉痛を主訴とする疾患で、18カ所の圧痛点をもって診断基準が定められているが、その病態のかなりの部分でCFSと共通性があり、極めて近似した疾患、あるいは本質的に同一疾患で表現形が異なるものとも考えられます。
 また、その他の慢性疲労状態を生じる疾患に、鬱病、むち打ち症(頚椎捻挫後遺症、外傷性頚部症候群、低髄液圧症候群)その他があり、それぞれ特徴があって別疾患とされるものの、共通した部分があり、原因が何であれ脳内に二次的に生じる病態には類似性があることが注目されています。従って当初は抗うつ剤として開発された薬剤がこれら一連の疾患にある程度有効である事もうなずける訳です。病名というものは、ある程度便宜的なものであって、姿形は異なっても本質が似通っていることがあり得ることを考えさせられます。
 これら疾患の診断には、問診と神経科的検査が必要であって、当院では必ずしも対応できていませんが、偶然、当疾患の患者団体と若干の交流があります。御相談にのることは可能かと存じます。


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