単純性股関節炎


Latest update: 2006.10.25

 小児(3歳〜5歳)特有の疾患です。ある日突然股関節と言うより大腿部ないし膝の痛みを訴えて歩こうとしません。股関節を曲げたり捻ったりすると痛がりますが、膝だけ動かしては痛がりません。怪我でもなければもちろん脱臼などではありません。単なる自然現象です。数日前に風邪引き症状があったかもしれません。

検     査
股関節可動制限:あり(一過性)・・・胡座(あぐら)出来ないなど。
レントゲン検査:異常なし

治 療・経 過
 安静のみで自然治癒します。痛いから歩きたくないのですから、無理に歩かせないで下さい。マッサージなど有害無益です。1週間以内に痛みが軽くなり、通常は5日以内に歩くようになります。外に遊びに出さず、お家の中で目の届く範囲で自由にさせてください。

注 意 事 項
 ただし、痛みが1カ月も続く場合や、一旦治ってもまた痛くなる場合は、再びレントゲン検査をしてペルテス病の有無を検討すべきです。
ペルテス病とは、大腿骨頭の微小循環障害のために、骨頭が次第につぶれてくる、はなはだ稀ながら小児特有のやっかいな病気です。早期に発見して2〜3年間、体重負荷をさせず、骨頭の変形を予防できれば良いのですが、放置すると骨頭の変形のために関節障害を一生残す可能性があります。
ペルテス病の初期には単純性股関節炎と区別できませんので、繰り返しますが、痛みが再発するときは放置せずにまたレントゲン検査が必要です。
 これまで一般病院勤務30年間に単純性股関節炎300例?に対し、ペルテス病を3例見つけています。肢体不自由児施設勤務時代(1年)は当然ながらペルテス病児が同時に5名居ました。稀な病気ですが、見過ごし出来ません。