巻き爪

latest update:2010.10.08


 巻き爪はスポーツ選手のみならずスポーツをしない人にも起きうるありふれた疾患です。たかが巻き爪されど巻き爪で、痛みや出血、化膿や肉芽形成は実にうっとうしいものです。


治 療 法

手術法
局所麻酔
出血
術後の痛み
治療期間
再発率
その他特徴など
独断的
評価

抜爪


単に爪全体を抜いてしまう
必要


数日有り
ガーゼ交換1週間

100%
簡単だが
感染症のみ適応
今どき流行らぬ手技
×

爪の辺縁のみ切除


食い込み部分だけ爪を切除
不要?



ガーゼ交換0〜3日
100%
簡便
とりあえず今すぐ楽になりたい人向け



超弾性ワイヤー矯正法
(町田法)(注1)

特殊ワイヤーで爪を矯正する
不要


ガーゼ交換不要
1カ月ごとにワイヤー付け替え
治療期間3カ月

低い

簡単、即日入浴可
最終仕上がり良し
再発なら再実行
☆☆☆

爪形成手術1
(鬼塚法)(注2)

変形部分の爪・爪床・爪母を切除
必要

数日有り
ガーゼ交換10日間

0%?
爪の幅が減る
感染、不良肉芽があっても一気に治療できる利点あり
ほぼ永久的に治癒
☆☆

爪形成手術2
(中村法小倉式)(注3)

爪を切って変形を矯正し接着剤で固定
必要
無?
少々
ガーゼ交換ほぼ不要
低い

仕上がり良し
再発なら再実行
☆☆☆


注1)
爪の先端部分に穴を開けて特殊ワイヤー(多摩メディカル製:http://tama-medical.com/)を通します。
利点:爪にしか手を加えないので出血せず、ほとんど痛みがないので、即日入浴できるし、ガーゼ交換の必要がない。
矯正速度はゆっくりですが、爪床を痛めない利点があります。若い爪は矯正しやすく、爪白癬の硬い爪は矯正しにくい。ワイヤーを入れた後も徐々に矯正するので、爪が伸びたらワイヤーを入れ替えるため1カ月に1回、3カ月ほど通院が必要。ワイヤーは実費を頂きますが、1本で4回使用できます。
欠点:爪を短くつんでいるとワイヤーが入らない。この場合、マチプレートで矯正できる場合がありますが、比較的外れやすいので、爪が伸びるのを待つか、以下の注3)の方法を私は好んで採用しています。

注2)
唯一確実に根治出来る方法ですが、術後数日間痛いこと、爪の幅が減ってしまうことが大きな欠点で、私はここ3年間行っていません。

注3)
中村法原法では小型電動鋸を使いますが、私は小型ルーターを使用します。模型工作好きな少年?にはおなじみの工具です。これで爪に細い溝を付けて手術用ペアンで爪を一気に矯正します。矯正位置を維持するために、瞬間接着剤とプラスチックフィルムを使います。爪が伸びていない、深爪した爪にも適用できます。巻き爪の人は痛みから逃れようと、ついつい爪をつみすぎていることが多く、そんな場合はワイヤーが使えません。第1例は2006年2月で、以来第1選択になりつつあります。局麻剤が必要で爪の一部を爪床から剥がすのすが欠点ですが、硬い爪でも早く矯正できる魅力があります。

注)爪白癬(みずむし)の場合は、同時に内服薬による治療が必要です。外用薬(塗り薬)は爪白癬には、ほとんど無効です。爪を薄く削れば有効ですが。


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